自然への依存を把握し、事業の継続に備える
戦争、インフレ、金融不安が重なると、物資の確保、価格への対応、資金調達が同時に難しくなります。操業と利益を守るには、水、土壌、森林、海、原材料の状態も経営判断に含める必要があります。
経営者向け論考
熊本サミットの議論をもとに、事業を守るために必要な備えと、2027年度の投資を考えます。

戦争、インフレ、金融不安が重なると、物資の確保、価格への対応、資金調達が同時に難しくなります。操業と利益を守るには、水、土壌、森林、海、原材料の状態も経営判断に含める必要があります。
企業・金融機関、政府、研究機関、自治体が、測定、調達、移行計画、金融、地域での取り組みを一連の課題として議論しました。今後は、表明した方針をどれだけ確実に実行できるかが問われます。
投資の目的を、供給の継続、将来の選択肢の確保、成長機会の開拓に分けます。それぞれを既存の調達、設備投資、研究開発、保険、地域投資の予算で検討し、どの条件で増額し、どの条件で中止するかも先に決めておきます。
資金繰り、供給、価格、顧客、雇用に関わる経営判断で、自然への依存が及ぼす影響も考慮します。
戦争や国際対立が深まると、経営会議では資金繰り、供給、価格、顧客、雇用への対応が優先されます。原材料の安定調達、工場用水の確保、農林水産物の生産維持、災害後の拠点の稼働は、いずれも事業を続けるうえで欠かせません。その条件を考えるには、水や土壌、森林、海、生態系の状態も把握する必要があります。
事業がどのように自然に依存しているかを把握していないと、危機の際に調達費の増加、供給量の減少、操業停止、保険料の上昇、資金調達条件の悪化による損失を受けやすくなります。経営者が確認したいのは、重要原料の供給が止まった場合の一日当たりの利益損失、取水制限で失う生産量、特定の地域や一社に集中する調達額、原材料価格が10%上昇した場合の粗利益への影響です。
物流の混乱に自然の劣化が重なると、原材料などの供給がさらに不安定になります。原材料、電力、物流、人件費、保険料の上昇は利益を圧迫し、銀行、投資家、保険会社の審査が厳しくなれば、資金調達も難しくなります。重要な水源や原材料について、何に依存し、どのようなリスクがあり、対策がどこまで進んでいるかを説明できる企業は、危機の際にも対応の選択肢を確保しやすくなります。
世界銀行は、花粉媒介、海洋漁業、天然林からの木材供給など、一部の生態系サービスが失われた場合の影響を試算しました。そのシナリオでは、2030年の世界GDPは基準シナリオより年間2.7兆ドル縮小する可能性があります。これは自然の劣化が経済全体に及ぼし得る影響を示す試算であり、個別企業の損失額を予測するものではありません。
グローバル・ネイチャーポジティブ・サミット2026には2,725人が参加し、登録者の約3分の2を企業・金融関係者が占めました。金融、保険、農業、エネルギー、食品、健康、建設、運輸など、実体経済を支える業種が集まりました。熊本宣言の現行署名一覧には87組織が掲載されています。
参加人数や署名数だけで、自然がどこまで回復したかは判断できません。今回のサミットでは、企業、金融機関、政府、研究機関、自治体が、測定、目標、移行計画、調達、金融、情報開示をまとめて議論しました。自然保全への賛同にとどまらず、実際にどう取り組むかが経営の議題になった点に意義があります。
最初の4図では、熊本サミットで見られた変化を、議論の全体像と参加者の構成から整理します。
主催者発表では参加者2,725人。これとは別に、登録の約3分の2が企業・金融分野でした。
State of Nature Metricsの4指標を使い、活動の件数や量に加えて、自然の状態がどう変わったかを測ります。
自然資本が損なわれたときの財務への影響を把握し、経営判断や情報開示に反映します。
現行の署名一覧は87組織(民間41、その他46)です。
自社拠点に加え、流域や供給網も対象に含め、相互の影響を考慮した管理を目指します。
取り組みの変化を、担い手、測定の仕組み、財務での活用、共通ルール、対象地域の広がりという5つの視点で整理しています。 取り組みを始めるにあたり、組織の判断基準、情報を扱う仕組み、責任範囲を合わせて見直す必要性を示した図です。
参加者は2,725人でした。登録情報をみると、約3分の2が企業・金融分野に属しています。
自然の状態を測る共通指標を使い、用途に合った手順で測定します。
自然に関する情報を、バランスシート、投融資、経営判断に反映します。
現行の署名一覧では、熊本宣言に87組織が署名しています。宣言では、自然への影響の回避を最優先としています。
企業の敷地に加え、流域やランドスケープ全体を対象に取り組みます。
サミット後に取り組む課題を、担い手、測定、財務、ルール、地域という5つの観点で整理しています。 前の図で示した変化に、どの業務で取り組むかを整理しています。

参加者数と登録者の内訳から、企業・金融関係者の割合が大きかったことを確認できます。 自然に関する議論が専門部門を越え、投資、調達、保険、経営判断にまで広がった背景を示しています。

企業・金融分野を中心に、政府、自治体、研究機関、市民社会などが参加した会議の構成を示しています。 各組織が協力して取り組むには、共通のルールが必要です。次章では、そのルールを取り上げます。
自然への影響は、回避、低減、回復の順に対処します。この順序を、投資審査と事業運営の判断基準に組み込みます。
熊本宣言は、自然への悪影響をまず回避し、次に最小化し、劣化した生態系を回復・再生する順序を示しています。それでも残る影響には、信頼できる方法で対応することを求めています。損害が生じてから補う方法に頼るほど、将来の負債や操業、評判に関わるリスクは大きくなります。立地、商品設計、調達、設備投資を決める段階で影響を防ぐことが、将来の経営の選択肢を守ることにもなります。
この順序は、投資審査の確認項目として使えます。承認前に、事業が自然に与える影響を回避できるか、設計変更で減らせるか、地域の関係者と回復に取り組めるか、残る影響をどう扱うかを確認します。
市場が成長するにつれ、企業の発信には、より確かな根拠が求められます。離れた場所で小規模な植林を行っただけで会社全体の成果をうたえば、信頼を損ないます。ドローン、衛星、AI、環境DNA、センサーについても、導入件数だけでは成果を判断できません。得られた情報をもとに、調達先、設備、土地利用、商品設計、融資条件をどう見直したかまで記録する必要があります。
署名や参加、情報開示の後に、どのような活動を行い、どれだけ成果を上げたかを確かめる必要があります。87組織の署名についても同様です。企業や参加者の振り返り記事は発信者自身の評価を含み、公開投稿の分析には、積極的に発信する人の意見が多く集まる偏りがあります。こうした限界を明らかにし、確認できた成果を報告することが、顧客、金融機関、地域、社員から信頼を得るうえで大切です。
自然を守る活動が、地域の仕事、収入、暮らし、文化、土地利用にどう影響するかを確認します。農家、林業者、漁業者、地域団体、自治体、研究者が参加を続けられるよう、契約内容と費用の分担を決めます。現場で活動を続けられる条件を整えることは、企業の供給を長期的に支えることにもなります。
さまざまな関係者が協力するには、判断のよりどころと、自然への影響に対処する順序を共有する必要があります。

熊本宣言の原則をもとに、データ提供者、ルールを定める機関、資金提供者、利用者の役割と関係を整理しています。 熊本宣言を実行に移すうえで、自分の組織がどの役割を担えるかを考えるための図です。

8つの実行原則が、国際基準、データ、金融、政府や企業の業務とどう関わるかを示した図です。 八つの原則は、部署ごとに個別に進めるだけでは十分ではありません。複数の部署が協力し、互いの仕事の結果を次の判断に生かすものとして捉えます。

自然への影響を抑える優先順位(ミティゲーション・ヒエラルキー)を示しています。回避、最小化、回復・再生を先に行い、それでも残る影響について代償を検討します。 事業計画や立地を決める段階で、自然への影響を避ける選択肢を先に検討し、その後で代償策を考えます。

企業が取り組む4段階を示しています。自然への影響を回避することを最優先に、代償を最終手段としています。 投資審査、調達、製品開発などの承認手続きで、この優先順位が使われているかを確認します。
自然の状態と財務への影響を併せて確認し、次の投資判断に役立てます。
自然に関する測定では、活動の件数に加え、自然の状態がどう変わったかを確かめることが重視されています。植樹の本数、研修の回数、導入したセンサーの数とともに、生態系の面積と状態、種の絶滅リスク、個体群、水量、水質、土壌の状態を記録します。
自然の状態を示す指標と、財務・操業の指標を併せて確認します。製品一単位当たりの水使用量、原材料の歩留まり、調達価格の変動幅、供給停止日数、廃棄物処理費、代替原料へ切り替えられる比率などを測れば、自然の変化が利益や操業にどう影響しているかを追えます。
判断に使える情報をそろえるには、まず優先する地域と原材料を選び、現状の基準値を定め、誰が何を決めるかを明確にします。自然の状態、事業への影響、対策にかかる費用、回避できる損失を、一つの画面や投資案件書で比較できるようにまとめます。
TNFDが2026年に公表した自然移行計画の事例では、企業の取り組みを、基本方針、実行戦略、関係者との連携、指標と目標、ガバナンスの五つに整理しています。この分類を使うと、測定結果が調達、設備投資、保険、融資、商品開発の判断に生かされているかを点検できます。
自然の状態や価値は、場所によって異なります。企業や金融機関が複数の地域や案件を比較するには、共通の成果指標と、地域に合った測定方法の両方が必要です。同じ観測データを経営、金融、情報開示に使えれば、測定費用を抑えられます。地域ごとの違いも把握できるようにすることが、市場の整備に欠かせません。
取り組みを見直すには、活動量とともに自然の状態を測り、そのデータを評価や情報開示にも使う必要があります。

活動の実施記録と、自然の変化を測る指標との違いを示した図です。後者には、生態系の面積と状態、種の絶滅リスク、個体群を用います。 まず、実施した活動と自然の変化を分けて記録します。

自然がどう変わったかを示す「結果」と、対象範囲、指標、データ品質を定める「測定手順」の役割を分けて説明しています。 共通の成果指標に、用途に応じた測定手順を組み合わせます。地域に合った方法で測りながら、他の地域とも比較できるようにするためです。

基礎データ、測定手順、自然の状態を示す指標、開示・報告の関係を示した図です。複数の制度で同じデータや測定の仕組みを利用できる構成になっています。 同じ観測データを経営や報告に繰り返し使えるようにし、制度ごとにデータを用意し直す負担を減らす考え方です。

共通データ、測定・評価、開示・報告の3段階で情報をどう共有・利用するかを示し、相互運用の仕組みを説明しています。 異なる制度を使っていても、各層の間で正確に情報を受け渡せることが重要です。すべてを一つの制度に統一する必要はありません。
操業の継続、粗利益、資金調達への効果を明らかにし、危機下の予算審議でも必要性を説明できる案件にします。
物流が滞り、エネルギー、肥料、食料、木材、鉱物の供給が不安定になると、国内資源の活用、再生材の利用、資源の循環、調達地域の分散が重要になります。水の再利用や流域管理は取水制限の影響を抑え、土壌の回復と供給者への支援は農産物の安定供給に役立ちます。森林、湿地、沿岸の管理も、洪水、土砂災害、高潮への備えになります。
危機が深刻になると、案件の優先順位を見直す必要があります。まず確保したいのは、操業に直結する水、原料、土地、物流拠点です。次に、一度失うと取り戻しにくいデータ、調達先、地域との関係、許認可を維持します。そのうえで、新しい商品やサービスの開発につながる案件に資金を配分します。
原材料費、電力費、物流費、人件費、保険料が同時に上がる局面では、粗利益をどう確保するかが課題になります。節水、再生材の利用、廃棄物の資源化、原料投入量の削減、土壌の生産力向上、地場調達、長期契約は、資源価格の上昇による影響を抑える手段になります。
投資の効果を判断する際は、費用削減に加えて、自然への負荷が別の地域に移っていないか、生態系の状態が改善しているかを確認します。財務と自然の両面で成果が出ていれば、物価が上がるなかでも投資を続ける根拠になります。
金融不安が広がると、銀行、投資家、保険会社は融資や引き受けの審査を厳しくします。自然関連データを整えただけで、融資条件や保険料が改善するとは限りません。重要な拠点や原材料について、自然への依存、リスク、対策、責任者、進捗を具体的に説明することが、資金提供者との交渉に役立ちます。
自然関連リスクがキャッシュフローに与える影響、今年の投資で改善した点、追加資金で減らせる損失を示すと、金融機関や投資家、保険会社と具体的に話し合えます。資金が限られる局面でも、経営の選択肢を確保しやすくなります。
自然の測定データをリスクの説明に使い、資産評価、投資、融資、保険、経営の判断にも役立つ情報として整理します。

自然資本の劣化や回復が、資産、負債、資本、価値創出とどのように関わるかを説明しています。 自然の変化が、どの財務判断に影響するかを整理した図です。自然の価値を金額だけで評価するものではありません。

従来の考え方と、これからの取り組み方を比較した図です。活動量から自然の状態変化へ、敷地内からバリューチェーン全体へ、代償優先から回避優先へ、CSR費用から資産・投資へと、四つの違いを示しています。 自社の状況を4つの観点で確認し、経営の仕組みのどこから見直すかを話し合うための図です。

自然に関する情報を財務判断に使うための条件を、情報、資産、資金提供者との関係、結果の四段階で整理しています。 金融の実務で評価できるよう、データに加えて、対象の場所、関係者との関わり、結果の確からしさを確認できる情報が必要です。

自然がインフラとして果たす役割と、リスクの低減、保険料、融資や投資の受けやすさとの関係を示した図です。 生態系の働きによって避けられる損失や得られる便益を、公共投資、民間資金、保険に共通する評価材料として捉えます。
事業を支える自然を守るには、会社の敷地だけでなく、原材料の生産地、流域、沿岸でも、地域で管理を担う人々と協力する必要があります。
環境省は、自然資本が失われると、調達価格の上昇や原材料の確保の難しさにつながる可能性があると指摘しています。企業には、原材料の生産地を十分にたどれないことや、求められる取り組みの水準が分かりにくいことも課題です。まずは事業への影響が大きい原材料と地域を選び、供給者との対話を始めます。そのうえで、長期契約、共同での測定、技術支援を検討します。
費用を一方的に供給者へ押し付けると、取り組みを続けることは難しくなります。複数年契約や価格条件、技術支援、成果に応じた支払いを組み合わせ、地域で継続して取り組める人材や体制にも投資します。
熊本市は、約73万人分の水道水をすべて地下水でまかなっています。江津湖には約600種類の動植物が生息します。市は「Water Capital City Kumamoto」を宣言し、地下水を守りながら、その価値を地域経済や都市の成長に生かす方針を示しました。水源の管理は、市民生活に加え、産業立地、企業の操業、農業、観光を支えています。
サントリーは益城町で、約3,000平方メートルの耕作放棄水田を湿地に戻す活動を始めました。地域団体は草刈りと水管理、企業は設備と圃場の整備を担当し、専門家がモニタリングを支えます。成果は今後の測定で確かめる必要があります。活動を始める段階で役割分担と検証方法を決めている点は、他の地域でも参考になります。
日本郵船は、グループが運航する船舶を使い、海洋プラスチックの分布調査や環境DNA調査を進めています。自治体の地下水管理の経験、飲料企業と水源地域との関係、海運企業の船舶や航路など、普段の業務で蓄えた資産には自然の調査や回復に役立つものがあります。既存の設備、データ、人材、取引関係を活用すれば、本業の中でこうした取り組みを進められます。
取り組む対象には、自社の外にある原材料や生産地、流域、沿岸・海域も含まれます。

原材料の産地で自然への依存や影響を調べ、その結果をもとに、バリューチェーンの上流から下流まで関係者と対話し、設計を見直す流れを示しています。 調達基準の確認に加え、原材料の選択、製品設計、販売までをまとめて見直す考え方を示しています。

一次サプライヤーより先の原材料産地を把握するために、追跡可能性の確保とサプライヤーとの対話という二つの方法を示しています。 まず、自然への依存や影響が大きい原材料と場所を特定します。取引先の一覧は、その調査に役立てます。

取り組む範囲を自社拠点から供給網全体へ、さらにランドスケープやシースケープへと広げる考え方を示しています。 周辺の生態系や経済活動を考慮して、個別プロジェクトの成果を長く維持し、取り組みを広げる方法を示しています。

工場や事業所と、上流の森林、農地、都市、地下水、河川が、同じ流域のなかで関わり合う様子を示しています。 水の使用量の管理に加え、行政、農業、金融、地域団体との協力を通じて、自然の保全と回復を進める考え方です。

流域から沿岸にかけての自然と、港湾、水産、海運の事業が、シースケープのなかでどのように関わっているかを示しています。 陸上で生じる負荷が海の自然資本にどう影響するかを、上流、沿岸、海域の関係者が共通の空間モデルで把握することが重要です。
測定、調達、金融、技術、地域運営の関係者が協力し、自然の回復に継続して投資できる市場を整えます。
この分野の需要は、供給の維持、価格変動、規制への対応、資金調達、地域との合意形成など、企業が抱える課題から生まれています。対象は、トレーサビリティ、節水と水の再利用、土壌を回復させる農業、森林・海洋資源の管理、環境DNAや衛星による計測、自然を活用した防災、循環材料、自然再生、保険、融資、成果の検証などに及びます。
世界経済フォーラムは2026年、13分野で50以上の投資機会を整理しました。精密農業、産業用水管理、持続可能なセメント、電池の再資源化などが含まれます。2030年までに年間最大10.1兆ドルの売上と費用削減に寄与し得るという数字は、これらの機会を合計した推計です。実際の成果は、各案件の採算、需要、政策、実行力によって変わります。対象は農業、食品、建設、製造、水、金融、都市、物流と幅広い分野に及びます。
東京大学グローバル・コモンズ・センターが熊本で開いた分科会では、市場の発展に必要な条件として、分かりやすい情報開示、供給側の品質の確保、政府による需要創出、官民での市場基盤の整備が挙げられました。ツールや案件の準備が進むなか、質の高い成果に対して対価を支払う買い手をどう増やすかが、主要な課題とされています。
大企業は、継続的な購入を通じて市場を支えられます。調達仕様に自然への配慮を盛り込み、供給者と複数年契約を結び、再生材や持続可能な原料を一定量購入する方法があります。地域の自然再生によって水、防災、観光、農業の恩恵を受ける人や企業が共同で費用を負担し、金融機関が保証や成果連動型の融資を提供する形も考えられます。一社の実証を複数社の継続的な調達へ広げることが、市場の成長につながります。
日本企業には、製造現場での改善や品質管理、長年の取引関係、地域との協働の蓄積があります。地域金融のネットワークや自然の状態を測る技術も強みです。これらを生かせば、事業を続けながら自然を回復する方法を具体化できます。技術だけでなく、契約、資金調達、地域での運営までまとめて支援できることは、海外で事業を展開する際の強みにもなります。
ここまでの内容を踏まえ、観測と予測、正確で誠実な情報発信、地域との協力、継続的な資金の確保を組み合わせて、自然再生を続ける方法を考えます。

ネイチャーテックを使って広域を評価・予測し、継続的な観測結果に応じて管理方法を見直す流れを示しています。 技術は報告作業の効率化に加え、自然への影響を予測し、影響が生じる前に計画を見直すためにも使えます。

AIや環境DNAなどで自然の状態を把握する方法と、根拠や限界を明らかにして結果を伝える方法を示しています。 測定が速くなっても、示せる成果は根拠の範囲に限られます。データの品質と、そのデータから言えることをあわせて確認します。

森林、農地、地下水、都市、河川、沿岸を含む地域全体で、さまざまな関係者が協力して取り組む様子を描いています。 地域の自然と社会インフラを共有する企業や団体が、同じ地域を対象に協力する取り組みです。

企業・財務、供給網・調達、地域・生態系の3層について、データと資金がどのように流れるかを示しています。 社内制度、取引先との関係、地域との協働は、互いに関わります。一つだけを改善するのではなく、三つをあわせて検討します。

自然の回復と企業の事業継続に向けて、事業、財務・開示、地域、データ・技術の役割と関係を整理した全体図です。 ここまでの論点を、繰り返し改善していく業務の流れとしてまとめた図です。自組織で情報の受け渡しや部門間の協力が滞っている箇所を確認できます。
供給の継続、将来の選択肢の確保、成長機会への投資を、一つのポートフォリオとして管理します。
ネイチャーポジティブに関わる案件を一つの予算枠にまとめると、優先順位が見えにくくなります。2027年度の予算では、供給の継続、将来の選択肢の確保、成長機会の三つに分けて検討し、既存の調達、設備投資、研究開発、保険、地域投資の予算に組み込む方法が考えられます。各案件では、担当役員、対象地域、基準値、事業と自然の成果指標、予算を増やす条件、事業を止める条件を明確にします。
2027年度の予算を審議する際は、各案件について次の六つを確認します。
第1四半期は、水、原料、土地、物流拠点のうち、売上や利益、操業への影響が大きいものを三つから五つ選びます。第2四半期には、設備の効率化、供給者への支援、再生材の利用、湿地・森林の管理、環境DNAや衛星データの活用、地域協定などを試行します。第3四半期には、その結果を調達条件、長期契約、融資、保険、設備投資に反映します。第4四半期は、事業部門と財務部門、自然科学の専門家、地域の関係者で成果を検証し、2028年度にどこまで予算を増やすか判断します。
投資を増やす際は、供給停止リスクの低下、調達価格の安定、水や原材料の使用量削減などを根拠にできます。融資・保険・許認可の審査に必要な説明の充実、新たな売上や粗利益、生態系の改善の兆候、地域で継続して運営できる体制も判断材料です。成果が十分でない案件は、測定方法、期間、場所、事業との関わりを見直します。前提となる仮説に十分な根拠がない場合は停止し、より有望な案件へ資金を振り向けます。
戦争やインフレ、金融市場の混乱があっても、水や原材料は必要です。工場の操業や農業、森林・海洋の利用、都市の暮らしは、自然の働きに支えられています。景気や政治情勢が変わっても、この依存関係は続きます。
危機への対応力は、平時の備えによって変わります。事業が依存する資源や供給者の把握、供給者との長期的な協力、自然の状態の測定が必要です。投資を判断する際には、財務と自然の両面から成果を確かめ、地域との利益配分も考えます。成果の乏しい案件を見直し、有望な案件へ資金を振り向けられることも、会社の選択肢を保つうえで大切です。
2027年度の予算では、調査や学習に加え、対策の実施、測定、契約、事業化に必要な費用を確保します。重要な拠点、原材料、流域、事業のいずれか一つから始め、12か月後に成果を確認できるようにします。供給の安定や利益の確保に役立つ取り組みを増やすことは、日本で新たな市場を育てることにもつながります。熊本での議論を参考に、各社で投資先と予算を検討します。
事業に欠かせない水源や原料を確保します。供給者への支援や防災、土壌・森林・沿岸の管理も、操業を続けるための投資です。
確認する指標:停止日数、調達価格、供給量、回避できた損失原料の生産地を把握し、代替原料や複数の調達先を確保します。地域との協定や自然の観測データも、状況が変わったときの備えになります。
確認する指標:切替可能比率、代替先数、データ取得率自然の回復に役立つ商品や循環材料、水や自然に関する技術を事業化します。自然再生、保険・金融、データの分野でも、収益を見込める事業を検討します。
確認する指標:売上、粗利益、顧客数、自然の改善状況最後に、熊本サミット後の指標整備、CBD COP17、次回サミットまでの予定を時系列で確認します。

取り組みを進める際の難しさに焦点を当て、熊本後の主な予定を順に示しています。 各組織で目標を具体化し、次に何を決めるのか、その期限はいつかを明確にする必要があります。

2026年後半の指標整備、CBD COP17、2027年の次回サミットを、今後の主な予定として示しています。 各節目までに何を準備するかを逆算して、自社・組織の日程を組む際に使えます。